
ハワイ王族の貴重な品が事実上の返還決定!
2016年にニュージーランド国立博物館(テ・パパ・トンガレワTe Papa Tongarewa )から、10年ほど貸し出しという形でハワイに237年ぶりに帰還していた、ハワイ島王カラニオプウ(Kalaniʻōpuʻu)のマントとヘルメットが、この度ハワイで永続的に保管される事になりました。
貴重なマントとヘルメット
このマント(ʻahuʻula)とヘルメット(mahiole)は、ハワイ固有種のミツスイという小さな鳥の羽根から作られ、古代ハワイの王族しか身につけられなかった貴重な品です。
臆病で小さな鳥ミツスイは、花の蜜や木の芽や実、樹皮にいる虫を食べます。
そのミツスイを職人がトリモチで捕らえ、羽根を数本採取してリリースするという、気の遠くなる作業を重ねて集められた羽根を使い、何十年もかけて作られます。
マントの赤い部分はイイヴィ(ʻiʻiwi)やアパパネ(ʻapapane)という赤いミツスイの羽根が、黄色い部分は黄色の鳥がハワイにはいなかったため、黒いオオ(ʻoʻō)とマモ(mamo)という鳥に生える数本の貴重な黄色の羽根が集められ使われました。
ハワイ王国を建国したカメハメハ王のマントはその貴重な黄色の羽製のもので、約8万羽のマモの黄色い羽根45万羽根が使用されていると言われています。
クック来訪
今回のマントとヘルメットの持ち主だったカラニオプウ王は、ハワイ諸島を統一したカメハメハ大王の叔父にあたる、当時のハワイ島の王です。
まだカメハメハが青年だったカラニオプウ王時代の1778年、イギリス人のジェームス・クック、通称キャプテン・クックがハワイ諸島を発見。
1779年、ハワイ島ケアラケクア湾へやってきたクックにハワイ島王カラニオプウは自分が身につけていた立派な羽根のマントとヘルメットをプレゼントし、彼ら一行を大歓迎しました。
クック達はその後航海に戻りますが、嵐に遭い再びハワイ島へ戻ってきます。
その後、ハワイアンと西洋人との文化や見解の違いから諍いが起こり、クックはハワイの地で亡くなってしまいます。
しかし、クックにプレゼントされたマントとヘルメットはそのままイギリスへ持ち込まれました。
クック以来、ハワイへは西洋船が多数来訪するようになります。
それらの西洋船の出資者であるヨーロッパの富裕層へのハワイ土産として、羽根製のマントやケープなどの人気が高まり、大量にヨーロッパへ渡りました。
かつてはのんびりエコに羽根が集められ作られていた王族の羽根製品は、この時代一気に需要が高まったために、ハワイ固有種のオオやマモなどのミツスイの絶滅につながる原因の一つとなりました。
マントとヘルメット返還までの流れ
クックの船でイギリスへ運ばれたカラニオプウ王のマントとヘルメットは、様々な博物館のオーナーやコレクター達の手に渡り、最終的にニュージーランド国立博物館で保管されていました。
ニュージーランド国立博物館とハワイのOHA(ハワイ人問題事務局)とビショップ博物館が、2013年から話し合いを重ねた結果、2016年に10年ほどの長期貸し出しが決まりハワイへ帰還となりました。
そのは頃すでに、このままハワイで保管かもしれない、という話も出ていましたが、2020年の今回正式に、ハワイでの永続的な保管が決まったのでした。
カラニオプウ王のマントとヘルメットには、2万羽の鳥の羽根が使用されており、その価値は約600万ドルとも言われています。
カメハメハ大王の黄色いロングマントも、今回のカラニオプウ王のマントとヘルメットもビショップ博物館で見ることができるので、次のオアフ島旅行ではぜひ訪れて、じっくり観察してみてくださいね。
バーニス・パウアヒ・ビショップ・ミュージアム
- 住所:
- 1525 Bernice St, Honolulu, HI 96817 アメリカ合衆国
- 電話番号:
- 808-847-3511
- 営業時間:
- 9:00~17:00
- 定休日:
- 感謝祭・クリスマス12/25
- 日本語対応:
- 日本語ツアーあり
- 料金:
- 大人$24.95 4歳以上$16.95 4歳以下無料 65歳以上$21.95 プラネタリウム$4.95 他